2023年2月号【vol.110】(2023年1月4日発行)
サラサーテvol.110表紙
 表紙&Artist Close-up 宮田大
 今号は、チェリストの宮田大です。
 盟友のピアニスト、ジュリアン・ジェルネとラフマニノフ:チェロ・ソナタがメインのCDを録音して、その全国ツアーの真っ最中に話を聞いた。
 もはや押しも押されもせぬ、日本を代表するチェリストになった彼に、
 幼少時からチェリストを志すまで、
 桐朋学園時代、
 ドイツ・クロンベルク・アカデミーでフランス・ヘルメルソンに学んだこと、
 そして2009年のロストロポーヴィチ国際コンクールでの優勝、そしてこれからの展望、未来への想いまであらためてじっくりとお聞きしました。
【特集】特集 チェロ大好き!!
 2020年12月号以来、2年振りのチェロ特集です。
 日本でも一世を風靡した2CELLOSが11月22日の日本武道館でラストコンサートを行いました。
 日本の重鎮堤剛は80歳のを迎えてもなお矍鑠たる演奏活動を繰り広げ、教育にも熱心、若い奏者たちとも積極的に共演しています。
 NHKの『鎌倉殿の13人』や『ファミリーヒストリー』などのテーマ曲演奏を手がけて話題の西方正輝が属するチェロアンサンブルXTCには初心者でも弾ける〈ふるさと〉の誌上レッスン(巻末楽譜付き)をお願いしました。ソッリマの再来日も決まり、コロナ後のチェロ界はいよいよ熱いぞ!
 さよなら2CELLOS/ソッリマ、春に再来日/エマニュエル・フォイアマン大賞/堤剛、80歳を語る/日本チェロ協会/チェロアンサンブルXTC《ふるさと》を弾こう!/北口大輔バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番/長谷川陽子ポンセ:エストレリータ


特集トビラ


エマニュエル・フォイヤマン大賞 ©Clemens Porykis
クレモナのコンテンポラリー製作家/カルロス・ロバーツ
 クレモナ弦楽器製作協会所属の製作家と楽器を紹介する連載です。
 第10回は、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれのカルロス・ロバーツです。
 実は南米アルゼンチンの人口の6割以上がイタリアのルーツを持つという。
 移民の中には凄腕の弦楽器製作家たちがおり、ロバーツは同地で製作を学び、多くの名器に触れてきました。しかしやはりイタリアへ行くことを決断しました。まずはミラノで学び、1990年にクレモナに最初の工房を開きました。彼のグァルネリ・デル・ジェスを忠実に再現した新作を紹介します。
日本テレビで『リバーサルオーケストラ』が放映開始!
 鈴間広枝プロデューサーは「『のだめカンタービレ』以来クラシックをテーマにした実写ドラマがほとんど無かった」ことをこの作品を手がけた理由のひとつに挙げました。
 架空の西さいたま市の万年赤字続きの児玉交響楽団が、強引だが才能ある指揮者常葉(ときわ)朝陽(田中圭)と元天才ヴァイオリニスト谷岡初音(門脇麦)の参加によって再生していくという物語。
 人気ピアニスト清塚信也が音楽(劇伴)担当で、神奈川フィルハーモニー管弦楽団がオーケストラとして全面協力するのも話題。クランクインの現場を取材しました。
 1月11日22時から水曜ドラマとしてスタートするので、是非ご覧ください。
アーティストインタビュー
 2022年4月、名教師として長年にわたって優秀なヴァイオリニストを輩出してきた辰巳明子が母校でもある桐朋学園大学の学長に就任して、まもなく1年。
 同校の「子供のための音楽教室」でも活躍し、西江辰郎、大宮臨太郎、郷古廉、服部百音らを育て上げた。
 現在の音楽教育の現状を、音楽大学の学長としての大局に立って眺めている彼女からは、とても興味深い話が聞けました。
 2021年7月の第14回ビバホールチェロコンクールで、本選でプロコフィエフ:交響的協奏曲を弾いて優勝した柴田花音は11月に兵庫と東京で優勝リサイタルを行いました。
 その成長ぶりには誰もが目を見張りました。
 現在、カナダのグレン・グールド・スクールでハンス・ジェンセンに学ぶ彼女。来日中に東京でインタビューさせてもらいました。
 中学生の頃から"将来の大器"との呼び声が高かった前田妃奈も、もう東京音楽大学の2年生。
 2020年の東京音楽コンクール弦楽器部門でも優勝しているが、2022年11月にヴィエニャフスキ国際コンクールで第1位と大きな国際タイトルを獲得しました。
 さっそくの凱旋インタビュー。世界的な活躍がスタートしているようです。まだまだいくつもの国際コンクールで彼女の名前を聞くことになるそうです。
★連載・記事★
●柏木真樹「ヴァイオリン習得術革命 誤った常識を打ち破れ」
 これまで当たり前に行ってきたヴァイオリンの練習方法に誤りはないか?ヴァイオリン指導者の柏木真樹が、骨や筋肉などの身体の仕組みから、効果的な演奏方法を考察する。
 「大人向け全く新しいアプローチ」の7回目。

●老舗弦楽器専門店の工房から
 弦楽器専門店の老舗・文京楽器。製作者としても評価の高い敏腕・堀酉基社長による連載。
 今回は特別レポート「ワシントン条約・第19回締約国会議に参加して」を掲載。

●コンサートマスター長原幸太のオーケストラスタディ
 読売日本交響楽団のコンサートマスター長原幸太によるオーケストラスタディ。
 第16回はリヒャルト・シュトラウスの交響詩《英雄の生涯》Tutti編。

●「低音ジャーナル」
 新連載「幣隆太朗が聞く!」。
 幣隆太朗が「すごい! すばらしい!」と思う、尊敬するコントラバス奏者を訪問し、インタビュー。
 初回は池松宏を訪ねた。

●グスタフのCDぶらり旅
 今回は、オランダ生まれ、アムステルダム音楽院に学び、現在スウェーデン放送交響楽団の首席コントラバス奏者を務めるリック・ストーティンが、立ち上げた室内楽ロック・グループORBI。そのCD「ヴィヴァルディ&ボッテジーニ ドッピオ・エスプレシーヴォ」を紹介。

●加藤正幸の「BassQ→A! HYPER弓付の極意」
 プロオーケストラで活躍し続ける加藤正幸が読者からの質問に答える連載。
 今回はリヒャルト・シュトラウス《ドン・ファン》の演奏のコツ。

●森武大和「ウィーン コントラバシスト演奏日記」
 森武大和がオーストリア・ウィーン放送交響楽団での演奏家としての日々を語る。
 第25回は「オーディション喜怒哀楽」。

●森元志乃「ヴァイオリン基礎テクニック、リターンズ!・3」
 奏法について 運弓法を中心に」と題し、ヴァイオリンのさまざまな奏法を整理。
 その上で一つひとつの奏法の成り立ちや弾き方を取り上げていくシリーズ。 第7回は「移弦奏法」。

●「遠藤紀代子の一筆エッセイ」
 ヴァイオリニストで指導者の遠藤紀代子が、日々感じたことを綴る一筆エッセイ。
 今号は、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番にまつわる話題。

●白瀬ゆり「こどものおけいこ」
 子どもにヴァイオリンを習わせたいけれど、楽器はどう選ぶ? 自宅での練習はどのくらいしたら良いの? 子どものおけいこヴァイオリンについて、ヴァイオリン教師の白瀬ゆりが解説していく。
 第13回は「譜読みを始める」。

●田原綾子のすばらしいヴィオリストたち
 東京音楽コンクールで優勝し、リサイタル室内楽でも活躍する若きヴィオリストの田原綾子。
 パリ・エコールノルマル音楽院を経て、デトモルト音楽大学にてファイト・ヘルテンシュタインのもとで学ぶ。
 コロナ禍、日独の行き来の難しい日々の中で、これまで出会った「すばらしいヴィオリストたち」を紹介ししていく。
 第12回は大作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトへのヴィオリストとしての想いを綴る。

●最終回・水野優也「ザルツブルクでチェロを学ぶ」
 ハンガリー・ブダペストからオーストリアのザルツブルクへお引っ越し。10月からモーツァルテウム大学の修士課程に在籍し、クレメンス・ハーゲンにチェロを学んでいる水野優也による留学記連載。
 最終回となる第6回は「充実したザルツブルク生活」などついて綴る。

●黒川正三の「エチュード活用法」
 「チェリストのための基礎講座」の新シリーズ。
 チェロの古典的なエチュード「ドッツァウアー」を用いて、基礎的な技術を学び直す。
 第4回は「音を出す手順 確実な発音のために」。なお、この連載では黒川お手製の動画と連動(https://youtu.be/NbDENJlpMyE)。質問やリクエストも受け付けている(https://questant.jp/q/W9SN5BS5)。 ※個別回答・返信等はいたしません

●カフェ・ド・室内楽
 沼田園子(Vn1)、野口千代光(Vn1)、大野かおる(Va)、菊地知也(Vc)によるカルテット・プラチナムにインタビュー。
 結成から8年、発足の経緯や、弦楽四重奏への取り組み方、2023年3月14日(火)19:00 東京文化会館小ホールにて行われる第15回定期演奏会について聞いた。


カルテット・プラチナム
写真左より、沼田園子(Vn1)、野口千代光(Vn1)、大野かおる(Va)、菊地知也(Vc) ©Ayane Shindo
●エクトル・カルテット「ないしょの手紙」
 カルテット留学inプラハ 中川理子(Vn1)、渋谷亜紗子(Vn2)、大畑祐季乃(Va)、山口奏(Vc)によるエクトル・カルテットは2017年4月、東京音楽大学で結成され、現在プラハ芸術アカデミーの室内楽科に留学。
 メンバーが交代でプラハでの出来事を綴る。今回は中川が担当。師事するパノハ弦楽四重奏団とのお話。

●志村寿一の「身体と音楽との調和」
 身体と楽器との良い関係について取り上げている。
 今号は、前回に続き「楽器の演奏を通して"自然"を取り戻す」。重音によるメッサ・ディ・ヴォーチェについて。

●川畠成道の「レガート・コンチェルタンテ」
 ヴァイオリニスト川畠成道が演奏活動の日々を綴るエッセイ。
 今号は「音楽と密接する数字」について。

●リニューアル アマチュアオーケストラ ファイル59
 2010年結成。家族のような雰囲気が特徴のグリューナーヴァルト合奏団を取材。

●その他
 弦楽器奏者のための楽器音響学入門/トピックス(第10代東京藝大学長 澤和樹退任記念公演、静岡県磐田市青城小学校校長児童にチェロのコンサートをプレゼント、
 映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』、各社が実施した秋の弦楽器フェア)/レポート「日本人製作家の饗宴」フェア/追悼・弦楽器製作家松田鉄雄/アマチュアオーケストラ公演情報

※宮田大「チェロ・ソナタ 聴かせどころ聴きどころ」はお休みします。チェリスト長谷川陽子「今日ものんびりチェロ日和」は特別編として特集内に掲載しています。
巻末楽譜
 NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』主題歌「アイラブユー」
  (作曲/清水依与史 編曲/松原幸広 ヴァイオリン2重奏版)
 《カルメン》組曲より「ジプシーの踊り」(作曲/ビゼー 編曲/Kao 弦楽四重奏)
 《ふるさと》(作曲/岡野貞一 編曲/武澤陽介 校訂/チェロアンサンブルXTC チェロ五重奏版)


チェロアンサンブルXTC
写真左より、小野木遼、夏秋裕一、西方正輝、山澤慧 ©Ayane Shindo
読者プレゼント
 コントラバス用 松脂 Archet R05:Basse(1名様 提供:アルシェ)
 Corelli SOLEA チェロ弦セット(1名様 提供:サバレス、カルテット・プラチナム)
 カルテット・プラチナム第15回定期演奏会(2023年3月14日(火)19:00 東京文化会館)ご招待(2組4名様 提供:コンセールプルミエ)をプレゼントします。

110号の綴じ込みはがきにてご応募ください。 ※2023年2月5日締め切り(消印有効)。

★★『サラサーテ』110号(せきれい社刊)は書店・楽器楽譜店などにて販売。弊社ショッピングサイト(バックナンバーのページに最新刊もございます)、Amazonでもお買い求めいただけます。★★
【特集】特集 チェロ大好き!!
堤 剛(Vc)

アーティストインタビュー
辰巳明子(Vn)
©Yukiko Shibuya

柴田花音(Vn)
©Yukiko Shibuya

前田妃奈(Vn)