【vol.66】 2015年9月2日発売
サラサーテvol.65表紙
 弦楽器マガジン「サラサーテ」66号、発売しました!
 今月はヴィオラに焦点を当てました。
 読売日本交響楽のヴィオラセクションの他、日本を代表するヴィオリスト、これから期待させるヴィオラ奏者と総出演ですArtist Close-upもヴィオラ奏者のアントワン・タメスティ。
 人間の声に最も近いと言われるヴィオラ、その魅力、そしてヴィオラ奏者の魅力を追求してみました。

 弦楽器学習者にとって、常に課題になるのが“音程”でしょう。平均律のピアノと違う弦楽器の音程には、多くの方がいろいろ悩まれていることでしょう。
 そこで「弦楽器にとっての良い音程♪」を、さまざまな視点から解き明かしてみました。固定ドと移動ド、倍音、アンサンブルの音程……音程の基礎をしっかり知っていただきます。
【特集】「ヴィオラから見た世界」
 巻頭カラーの「Close-up」は、1979年パリ生まれ、現在世界で一番注目を集めているヴィオリスト、アントワン・タメスティです。
 タベア・ツィーマーマンの弟子で、彼女の共演者として名を挙げたタメスティにぐっと迫ります。
 さて、ヴィオラ特集。まずは本誌の名物企画となりつつある、オーケストラのセクション全体に焦点を当てる人気企画、今回は「読響のヴィオラ」です。若きリーダー鈴木康浩に、キャリア豊富な柳瀬省太が昨年加わった読響のヴィオラセクションは、ヴォリューム溢れる読響を、まさにグイグイ引っ張るセクション。ハチャメチャに仲良しで、エネルギーに溢れていました。
 ヴィオラ界の新星として紹介するのは、今年行われた第3回東京国際ヴィオラコンクールで第2位に入賞した東条慧。
 普通高校を出てすぐフランスに渡り、現在パリ音楽院で学ぶ彼女は、ジュニアオーケストラの出身。ちょっと変わり種の元気娘です。ケルン音楽院を卒業しドイツで活躍する原麻理子、ヴィオラに転向して1年半で東京音楽コンクール弦楽器部門で優勝した田原綾子にも話を聞きました。
 さらに東燃ゼネラル音楽賞奨励賞を受賞した、もはや中堅というのも失礼なほどの実力派、川本嘉子。そして文字通り日本の重鎮の店村眞積、日本のヴィオリストの先駆者にして今も第一人者の今井信子にも、それぞれのお話しをうかがいました。
 弦楽器関係者なら知らぬ人がいないと言う“ヴィオラジョーク”って何?  本誌連載を持つ鈴木康浩には、ヴィオラの買い方、レパートリーの拡げ方、姿勢のチェックなど、ヴィオラにまつわるQ&Aに回答いただきました。
試奏レポート「シンセティック・ヴィオラ弦を弾く」
 本誌ならでは! 実際にプロ奏者が弦を弾き比べて、その違いを解説する“試奏レポート”。ヴィオラ特集に連動してのヴィオラ弦です。
 フランス・リヨン国立歌劇場管弦楽団のヴィオラ奏者、大矢章子がヴィオラ弦の新製品5種類とスタンダード1種類を、同じヴィオラモデルの楽器に弦を張って試奏。際立つそれぞれの個性を明らかにしました。
【特集】「弦楽器奏者にとっての良い音程♪」
 「音程がわからない」「正しい音程って何?」と音程に悩む人は多い。まずは、本誌付録楽譜の編曲でおなじみの作曲家、松原幸広が、「固定ドと移動ド」、「絶対音感と相対音感」という、言葉は皆知っているが、実際のところが、わかったようなわからないような仕組みについて、わかりやすく解説します。“弦楽器に絶対音感は不可欠”のウソを明らかにします。むしろ大事なのは相対音感です。
 同じく本誌連載でおなじみの柏木真樹も、「音程」と「音高」の違いから説き起こし、絶対音感信仰を俗説と断じます。では一番大切なのは、何なのでしょうか?
 志村寿一は、“良い音”を弾くために不可欠な、“倍音”を意識する方法を伝授します。
 さらに実践編! 日本フィルのソロ・コンサートマスターの木野雅之が「音程のとり方の基本」を示します。そしてクァルテット・エクセルシオの第2ヴァイオリン奏者、山田百子はクァルテットやアンサンブルで、彼女らが実際に行っている方法を説明してくれました。
もっと上手くなる基礎「跳ばす弓 スピッカート」
 前号に引き続き、「スピッカート」の実践編です。内外の名教師ふたり、ハビブ・カヤレイと水野佐知香が、スピッカートの弾き方の実際を、写真を豊富に使って教授する。ふたりの言葉は一致しています。「もともと弓は跳ぶようにできている」。彼らの指摘するポイントを頭に入れて、早速、実際に試してみよう。水野伝授の“奥の手”もあります。
「第36回霧島国際音楽祭」レポート
 日本の夏の音楽祭としては、草津と並んで最古を誇る霧島国際音楽祭。今年も7月15日から8月2日まで開催されました。
 本誌では初の、5ページにわたる現地レポートです。マスタークラスは多彩、音楽監督堤剛(Vc)はじめ、藤原浜雄、店村眞積、加藤知子、松原勝也、スヴェトリン・ルセヴ(以上Vn)、練木繁夫、エリソ・ヴィルサラーゼ、ダン・タイソン(Pf)、高関健、下野竜也(指揮)など。
 潜入レポートしちゃいました。
 コンサートには、講師陣に加えて、樫本大進、川久保賜紀、成田達輝(Vn)、上村文乃(Vc)、小菅優(Pf)なども加わってさらに圧巻。多くの感動が紡ぎ出されました。
アーティストインタビュー
 今号も強力ラインアップ。次男(6歳)との共演が話題の新アルバムを発表、秋からツアーが始まる高嶋ちさ子。
 日本人初のロン=ティボー国際コンクール優勝から25年。2年にわたる全5回の記念シリーズを敢行中の小林美恵。アンサンブル、リ・イン・コニーティを結成したバロックヴァイオリンの新世代の旗手、アマンディーヌ・ベイエール。ヴィルトゥオーゾピースのニューアルバム『アンコール!』を発売した川久保賜紀。4人の美しきヴァイオリンの女神が顔を揃えました!
表紙にも登場の“ウルトラヴァイオリン”!
 これはウルトラマンシンフォニーコンサート開催記念企画として実際に製作されているもの。11月2日、東京芸術劇場のコンサートでお披露目される予定です。
連載[ニューヨーク・フィル アーカイブを読む]
 レナード・バーンスタインが、ヘルベルト・フォン・カラヤンを追悼するためにウィーン・フィルと演奏したベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番。
 ウィーン・フィルは難色を示したというこの演奏に、バーンスタインがどういう工夫をしたか、解き明かします。
今号から新連載!
 本誌連載で人気のヴァイオリニスト遠藤記代子が、得意のイラストで綴る「一筆エッセイ」。
 第1回は「チャイコフスキー ヴァイオリン・コンチェルト」です。
好評連載企画
●柏木真樹の好評連載
 新チャプター「スキルを上げる 一歩進んだ 身体の使い方」の第3回。
 速い動きをこなせるようになるためのトレーニング方法を伝授します。

●好評連載 ニューヨーク在住の志村寿一の「身体と音楽との調和」。
「良い姿勢を保つ」ために必要な「抑制」と「方向づけ」とを保持できることが重要です。

●「倶楽部チェロ」
 取材したのは、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンでおなじみのフランスのチェリスト、オーレリアン・パスカル。まだ20歳の俊英は努めてレパートリーの拡充中です。
 イギリスから「オックスフォード・チェロ・スクール」の現地レポートが届きました。
 仙台の「1000人チェロ」翌日に行われた東北キャラバンも掲載。

●「黒川正三のチェリストのための基礎講座」では、J・S・バッハの無伴奏チェロ組曲第1番《クラント》を題材に、良い音程を作るためのテクニックを伝授します。

●「低音ジャーナル」はコントラバス奏者、ブルーノ・デストレが語る楽器の調整法。

●「Cafe du室内楽」の「クァルテットの極意」には、1966カルテットが登場。結成5周年を迎え、発売されたベスト・アルバムのこと。これからの目標について語りました。

●「室内楽プラス」には、結成10年、ニューアルバムをリリースしたウェールズ弦楽四重奏団が登場です。

●「ヴァイオリンCD館」では、サン=サーンスとルクーのソナタを録音した漆原朝子にお話しをうかがいました。
巻末楽譜
 今月は2曲。
 オペラ《蝶々夫人》より名アリア「ある晴れた日に」を弦楽合奏版で。
 ピアノの詩人ショパンの編曲にも挑戦してみませんか?エチュード《黒鍵》はヴァイオリン+ヴィオラ二重奏です。
読者プレゼント
読者プレゼント
 今号も充実したプレゼントを用意しました。

 試奏レポートに登場した最新のヴィオラ弦から、3種類を各1名様にプレゼントします。
 そして、書籍『楽典/楽譜の書き方』を2名様。
 川畠成通が話題の新垣隆:無伴奏ヴァイオリンソナタ《創造》を録音した最新CDを1名様。
 そして雑誌『航空情報』のせきれい社移管を記念して日本初のジェット旅客機MRJのミニチュアモデルを1名様に差し上げます。奮ってご応募ください。

★★『サラサーテ』66号、是非、書店・楽譜店でご覧ください。★★
アーティスト
アントワン・タメスティ

高嶋ちさ子

小林美恵

アマンディーヌ・ベイエール

川久保賜紀