【vol.77】 2017年7月3日発売
サラサーテvol.77表紙
 今月の表紙&Artist Close-upを飾るのは、チェリストの長谷川陽子です。
 2017年にはデビュー30周年を迎え、昨年は3回目となJ・S・バッハの無伴奏チェロ組曲全曲演奏に取り組みました。桐朋の同級生だったピアニスト、青柳晋との記念レコーディングも済ませたばかり。
 音楽評論家の家庭に生まれ、10代でデビュー。
 傍目には順風満帆を絵に描いたような音楽人生に見えるが、そこはどうして、人生やはり山あり谷ありで、だが、40代を迎えて、歩みはより着実。
 教育活動にも情熱を燃やしています。バッハという山を又再び越えて、ショパン、ベートーヴェンと、レパートリーをより深めていく段階に入った彼女の、来し方行く末をじっくりと聞きました。
【詳報】エリザベート王妃国際コンクール チェロ2017

第2位受賞の現地メディアインタビューを受ける
岡本侑也
 1938年のウジェーヌ・イザイコンクールが起源の、歴史と伝統を誇るベルギーのエリザベート王妃国際コンクールに今年、チェロ部門が新設されました。
 その歴史的第1回コンクールで、日本の岡本侑也が見事、第2位入賞を遂げました。
 本誌では12人が競ったファイナル全日程の現地取材を敢行。
 ファイナルダイジェストレポート、岡本はじめ全入賞者のインタビュー、審査員インタビューおよび、ファイナルの委嘱曲を書いた作曲家、細川俊夫にも話を聞きました。
 他誌では見られないコンクールの全貌を知ることができます!

マティルド王妃列席のもと、ファイナルの2日後に行われる贈賞式
【特集】「時代はチェロ。」
 上記のエリザベート国際コンクールの事務局は、「チェロが21世紀ではピアノやヴァイオリン以上に重要な存在になった」とコンクール開設の理由を説明しています。
 現実にピアノやヴァイオリンの名手にひけを取らない演奏家が、チェリストにもどんどん登場しています。そこで「時代は、チェロ。」をお届けします。
 まずは、在京オーケストラのトップ若手チェロ奏者によるてい談です。
 東京交響楽団の西谷牧人(首席チェロ奏者)、読売日本交響楽団の遠藤真理(ソロ・チェロ奏者)、日本フィルハーモニー交響楽団の辻本玲(ソロ・チェロ奏者)が、オーケストラのチェロ奏者たちのとっておきの話を聞かせてくれます

西谷牧人(東響)、遠藤真理(読響)、辻本玲(日本フィル)

手本を弾いてみせる門脇大樹
 また。神奈川フィルの主席奏者の門脇大樹は、まったくの初心者のためのチェロ入門誌上レッスン。新倉瞳は「私も大好き!」という人気曲、ラフマニノフ《ヴォカリーズ》の演奏の秘訣を伝授します。
 水谷川優子は、独ピラストロ社がソリストや演奏家向けに開発したというパーペチュアル弦の試奏レポートをしてくれました。
 また、日本のグローバル社が製品化した特殊合金ALFEを使用した「アルフェ・チェロエンドピン アンティーク」も使用レポートを掲載。
 最近、アマチュアの方も結成することが増えているというチェロアンサンブル。その上達のポイントをチェリストの海野幹雄に聞いた。
 さらに山崎伸子の公開レッスンのレポート。今後のチェロ演奏会情報も満載しました!
カラー連載「モダン・イタリーの逸品」
 今回は、多くの楽器製作家を輩出したミラノのビジャッキ工房ぼ創設者、アンドロ・ビジャッキの1910年製作モデルを紹介する。
 ブリュッセル(ベルギー)で開催された万国博覧会にイタリアから出品され、ゴールドメダルを受賞したのと同時期の作品。黄金期のストラディヴァリウスの完全コピーだ。
カラーSTAGE PICK UP/音楽祭レポート
 チェロ特集ということもあり。2CELLOSの2年ぶりの日本ツアーの模様をレポート。
 前半は2月にリリースしたアルバムより珠玉の映画音楽を弦楽アンサンブルと、後半はおなじみのロック/ポップで弾(はじ)けた。

2CELLOSのライヴ ©Yuki Kuroyanagi
 5月に各地で行われた音楽祭から、宮崎国際音楽祭と、小澤征爾初出演で話題になった別府アルゲリッチ音楽祭は、モノクロの詳細レポートと共にお届けする。

宮崎国際音楽祭のオペラ『椿姫』©K.Miura

宮崎国際音楽祭での宮川彬良とオーケストラ©K.Miura

5月20日に行われた別府アルゲリッチ音楽祭でのギトリスとアルゲリッチ © Rikimaru Hotta
 また日本フィルがオペラコンサート形式で『ラインの黄金』を上演。東京文化会館のステージを上手に使い、歌手とオーケストラの力量を聴かせ、見せた。

 音楽祭レポートでは、この他「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017/ラ・ダンツァ〜舞曲の祭典」を追った。

左:ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017年は5月4日〜6日に行われた。
右:大阪国際室内楽コンクール&フェスタ。弦楽四重奏部門で優勝したアイズリ・クヮルテット

大阪国際室内楽コンクール&フェスタ。
弦楽四重奏部門で優勝したアイズリ・クヮルテット
 9月にリニューアルオープンするサントリーホールでの「チェンバーミュージック・ガーデン」のプレビューも。
 大阪国際室内楽コンクール&フェスタの詳細レポートもお届けする。



アーティストインタビュー
 東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターであり、ソリスト、室内楽奏者としても活躍する三浦章宏を取材。
 10月にはベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ10曲を横山幸雄(Pf)と、1日で一挙に演奏する。
 さらに、5月のラ・フォル・ジュルネに来日したアルバニア生まれのヴァイオリニスト、テディ・パパヴラミには、昨年日本語訳が出た自叙伝の話題を中心に話を聞いた。
追悼記事「弦楽器製作家ルカ・プリモンの逝去を悼む」

ルカ・プリモン
 名匠ルカ・プリモンが2017年5月27に逝去。
 ルカと同じくスクロラヴェッツァの門下であり、教えを受け継いだ高倉匠が記す。






好評連載企画
●森元志乃の「ヴァイオリン基礎テクニック、リターンズ!」
 1回5分で上達する基礎練習を取り上げる。
 簡単にできるメソードを少しずつ解説し、身に付けていく。今号では部分弓の使い方をマスター。

●柏木真樹の好評連載
 柏木真樹が読者モデルからの相談にお答えする「良い演奏のための処方箋」。
 8回目の相談者はヴァイオリン歴約10年の40代男性。「演奏中に力が入ってしまう」というお悩みに答える。

●「低音ジャーナル」
 ボッテジーニ国際コンクールの模様を取材。

ボッテジーニ国際コンクール
●森武大和の歌劇場コントラバシスト演奏日記
 今号は「オペラのピットは楽しい!」。

●加藤正幸の「弓付けの極意」ではスメタナの交響詩《モルダウ》を取り上げた。

●黒川正三の「チェリストのための基礎講座」
 ヴィヴァルディのチェロソナタ第1番を題材にバロック時代の音楽について解説する。

●長谷川陽子の「チェロを始めよう!」
 特別編と題し、誌上レッスン受講生にインタビュー。これまでのレッスンを振り返る。

●TSUKEMEN「俺たちの音楽」の話
 「今、まさに言いたいこと/やりたいこと」に焦点を当てた、2クール目。
 ヴァイオリニストのKENTAが登場。
 4月21日にリリースした最新アルバム『RECHARGE』の話題に触れつつ、「TSUKEMEN」の背顔に迫る。未公開写真も満載。

●遠藤紀代子の一筆エッセイ
 ヴァイオリニストで指導者の遠藤紀代子が日々感じたことを綴る一筆エッセイ。師である故江藤俊哉の教えについて。

●鈴木康浩の「ヴィオラのオーケストラスタディ」
 読売日本交響楽団ソロ・ヴィオラ奏者、鈴木康浩の「ヴィオラのオーケストラスタディ」。
 第14回は、シューマンの交響曲第2番を取り上げる。

●志村寿一の「身体と音楽との調和」
 「シルバー・トーンの輝きをえるために」。ガット弦の特性に触れながら音色作りについて解説。

●アマチュアオーケストラを訪ねて  今号は【海外編】。
 ドイツの航空会社、ルフトハンザ・オーケストラ。
 2011年、東日本大震災へのチャリティコンサートをきっかけに創設された同団を取り上げる。

左:ルフトハンザ・オーケストラの本番は年に2回行われる。
右:フランクフルト空港内にあるルフトハンザのアヴィエーションセンターバス停。
●cafe du 室内楽

クァルテット・アルモニコ
 室内楽の極意【30】
 結成22年。新メンバーを迎えて活動を再開したクァルテット・アルモニコにインタビュー。結成からこれまでの経緯を聞いた。

●川畠成道の「レガート・コンチェルタンテ」
 今回のタイトルは「音楽にはその人自身が現れる――」。音楽的表現について綴る。

●プリヴィェット、レーピン

世界的バレリーナ、ザハーロワと
天才ヴァイオリニスト、
ヴァディム・レーピン夫妻
 ヴァイオリニストのワディム・レーピンによるエッセイ。
 今号は趣向を変え、6月5日にロシア大使館で行われたトランス=シベリア芸術祭について、レーピンのコメントなどを交えてお届けする。
 日本では9月26日、27日、29日、Bunkamuraオーチャードホールで、10月1日に前橋で開催。




●弦楽器工房を訪ねて/エドリオ・エドレフ

エドレフ夫妻と、鈴木郁子(丸一商店)
 ブルガリアの弦楽器製作を牽引してきたエドリオ・エドレフが来日、その工房や国の伝統・真価と技術や作品を披露した。
 現在ますます評価の高まっているブルガリア産の楽器作りについてカラーページでの紹介。

●ヴィオロニステ♪
 7月16日に王子ホールでリサイタルを行う澁谷重良。
 5年ぶりとなるリサイタルにかける思いを聞いた。
 また、8月にアルバム「ヒーリング・ヴァイオリン」が配信されるヴァイオリニストの佐藤恵梨奈。ハイレゾ音源で配信されるそのアルバムについて聞いた。
読者プレゼント
 ペグ先に2Bロケット鉛筆芯を装着した「ロケットえんペグ」と、楽器ケースやスマホなど、身近な小物に装着できる「ペグホルダー」を各1名様に。
 非売品のレアグッズ、東急シアターオーブ『ウェストサイドストーリー』チケットホルダーを3名様に。
 エリザベート王妃国際コンクール ファイナルプログラム 3名様に。
 ピアストロ弦(チェロ)を10名様に(応募条件有)。
 マルテニツァ(2個セット)2名様。
 ブルガリアのお守り「マルテニツァ」を2名様に。提供/丸一商店

♪77号の綴じ込みはがきにてご応募ください。お待ちしております。

★★『サラサーテ』77号、是非、書店・楽譜店でご覧ください。★★
★ 購入は、書店・楽器店の他、「Fujisan net」でもお申し込みできます。
【特集】時代はチェロ。
新倉 瞳

水谷川優子

海野幹雄
アーティストインタビュー
三浦章宏

テディ・パパヴラミ