【vol.81】 2018年3月2日発売
サラサーテvol.81表紙
 今号の表紙&Artist Close-upを飾るのは、中木健二です。
 愛知県に生まれ、3歳からピアノを弾く亡き母からチェロの英才教育を受けました。東京藝大を3年で中退して、パリ国立高等音楽院に留学。高校時代からマスタークラスを受けていたフィリップ・ミュレールに師事しました。
 同音楽院首席卒業後、さらにアントニオ・メネセスに学ぶためスイス・ベルン音楽院も卒業しています。その後、ボルドー・アテキーヌ管弦楽団に首席チェリストとして入団。そこで3年半、6年をフランスで過ごし帰国しました。
 現在はソリストとして活躍するかたわら、東京藝大准教授も務め、紀尾井ホール室内管弦楽団のメンバーでもあります。室内楽奏者としても引く手あまた。3月には札幌と東京でデュオリサイタルを行います。
【特集】15万円セットヴァイオリンを弾く

15万円のセットヴァイオリンを試奏する奥村愛
©八木澤芳彦
 ヴァイオリンを始めてしばらく経つ人が、いよいよ自分の楽器を手に入れるためのガイダンスです。15万円を目安に、内外9ブランドの税抜98,000円〜185,000円のセットヴァイオリンを、人気のヴァイオリニスト、奥村愛の弾きくらべてもらい、それぞれの楽器の特長を探ってもらいました。同じブランドでも、楽器は個体差が必ずありますから、あくまで参考に、実際に買われる方はご自身で楽器店に足を運んでください。
【特集】[もっと上手くなる基礎]納得するヴィブラート

コントラバスでのヴィブラート
 「美しくヴィブラートをかけるヴァイオリニスト」に憧れてヴァイオリンを始める人も決して少なくないと聞きます。ですが、どの教室でも、ヴィブラートに関しては、なかなかそんなには教えてくれません。
 今回の特集では、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと楽器別に、森元志乃(Vn)、柳瀬昇太(Va)、毛利伯郎(Vc)、高山健児(Cb)が、ヴィブラートの基本とコツを伝授します。ヴァイオリニスト・田中晶子の「私のヴィブラート」コラムもお楽しみください。

左:ヴィオラのヴィブラートについて語る柳瀬省太
中:チェロのヴィブラートを指南する毛利伯郎
右:コントラバスの指南役は高山健児
[特集連動/連載]志村寿一の「身体と音楽との調和」
 今号は「シルバー・トーンの輝きを得るために」の5回目。  ヴィブラートについて考察する「ヴィブラートの種・2」で、ヴィブラートの極意を語る。
創刊15周年企画

堤 剛 ©サントリーホール
 本誌創刊15周年企画の第2弾として、今年一杯連載予定の「アーティストに聞く『私の15年』」。

 第1回は、チェリストであり室内楽奏者として活躍する一方、サントリーホールの館長として著名な堤剛が登場。
 アメリカでの半世紀の生活から桐朋の学長として帰国し、サントリーホールの館長となり、また各国コンクールの審査員や教育者としても活躍する激動の15年について語る。

カラー連載「モダン・イタリーの逸品」
 ステファノ・スカランペラ(1843〜1925)はアマチュア弦楽器製作家の次男として生まれ、ニコロ・ビアンキに学んたが、最初はあまり成功せず、建具屋で生計を立て、あくまでアマチュア製作家だった。息子2人が成人した1890年、47歳でプロになったという遅咲きの製作者だ。
 1902年に兄が他界して道具や型枠、木材などを譲り受けたことが契機で、1903年頃から広く認められるようになった。
 1919年にガエタノ・ガッダを雇い入れ、共同製作をするようになる。今回紹介する楽器は、彼の82歳での死の3年前、1922年製作の晩年の逸品。スカンペラ独自の味わいと強い個性を持ったヴァイオリンである。
カラー STAGE PICK UP
 名古屋フィルハーモニー交響楽団と日本音楽財団のコラボレーションで、2018年2月は、定期公演にストラディヴァリウスを貸与されている3人の外人ヴァイオリニストが登場した「ストラディヴァリウス・シリーズ」。
 その第1弾は2月3日、豊田市コンサートホールで行われた、レイ・チェンとの共演だった。彼の持つ楽器の愛称は「ヨアヒム」。19世紀後半から20世紀頭まで活躍したハンガリーの大ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムがその楽器を使っていたからだ。レイ・チェンはヨアヒムが改訂版に深くかかわり初演もした、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏した。
 もうひとつ、5月に東京でも開催されるラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(5月3〜5日)の本家であるフランス・ナントのラ・フォル・ジュルネから、ギドン・クレーメルとクレメラータ・バルティカのコンサートの模様もレポートする。
アーティストインタビュー

アレクサンドラ・スム(Vn)
 アレクサンドラ・スムは、ロシア生まれのフランスのヴァイオリニスト。15歳から「小澤征爾スイス国際音楽アカデミー」に13年連続で参加し、小澤の信頼も厚い。彼女はまだ20代ながら、社会奉仕活動に積極的にかかわっている。2012年には友人と自身の団体まで作り、年間35のコンサートを、ホームレスや恵まれない子どもたちにために、また病院や刑務所でも開催している。何が彼女をそうさせているのか?
 青木尚佳は、1992年生まれの25歳。堀正文に学んだ後、英国に留学して藤川真弓に師事。現在はアナ・チュマチェンコに学んでいる。2009年日本音楽コンクール第1位、14年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第2位になり、日本での活躍の場も大きく広がっている。
 ジル・アパップは、アルジェリア生まれのフランス人ヴァイオリニスト。1985年にユーディ・メニューイン国際コンクールの現代音楽部門で優勝。クラシックのソロや協奏曲の他、ロマ音楽やアイリッシュ、ジャズ、インド音楽なども演奏する。2017年のクレモナ「モンド・ムジカ」でマスタークラスを開いた彼に、インタビューする機会を得た。
 水島愛子は、桐朋学園音楽大学を経てウィーン国立音楽大学を卒業。1976年から2011年までミュンヘンのバイエルン放送交響楽団のメンバーとして35年間活躍した。ラファエル・クーベリック、コリン・デイヴィス、ロリン・マゼール、レナード・バーンスタインと、今は亡き巨匠たちの指揮に接して来た。今から考えると夢のような体験をした彼女にさまざまな思い出を聞いた。現在は、音楽学生にヨーロッパのオーケストラでは何が求められているかを教えている。
[現地レポート]本名徹次&ベトナム国立交響楽団が川久保賜紀と共演
 2001年に初めて指揮してから17年、本名徹次はハノイに居を構え、ベトナム国立交響楽団音楽監督兼首席指揮者を務める。
 1月17日、日本のヴァイオリニスト、川久保賜紀が7年ぶりに来越。エースコック・ベトナムが冠の「ハピネスコンサート」に出演、メンデルスゾーンの協奏曲を弾いた。その現地レポートと共に本名にベトナム国立交響楽団の現状を聞いてみた。

左:ベトナム国立交響楽団とのリハーサル風景/右:本名徹次
[音楽祭レポート]クァルテット・ビエンナーレ・アムステルダム2018

クァルテット・ビエンナーレ・
アムステルダム2018音楽祭の様子 ©BenBonouvrier
 クァルテットの祭典としてアムステルダム(オランダ)で初めて行われた音楽祭を、現地からレポートする。
 各国から集まったクァルテットの俊英と、地元の熱い盛り上がり振りを写真と記事で紹介。また主催者や参加者のインタビューも。



[速報]ルトスワフスキ国際チェロコンクール/佐藤晴真が優勝!
    上野通明が第2位

ルトスワフスキ国際コンクール、
ファイナルで演奏する佐藤晴真
©Darek Golik
 2018年1月30日〜2月10日にポーランド・ワルシャワで行われたヴィトルド・ルトスワフスキ国際チェロコンクールで日本の佐藤晴真と上野通明がワン・ツー・フィニッシュ。

 同コンクールは1997年から2年に一度開催されている24歳以下のためのコンクール。今まで、中木健二、石坂団十郎、ルカ・スーリッチ(2CHELLOS)などの優勝者を輩出している。

★新連載★
●吉田南の「ボストン留学日誌」
 才能溢れる19歳のヴァイオリニスト、吉田南が、2018年から初めての海外生活をスタート。ボストンのニューイングランド音楽院でのあれこれを写真とエッセイで綴る留学日誌をスタートします。
 第1回は、まずはボストンに降り立った南、さて!?


堀 悠基
●老舗弦楽器専門店の工房から
 弦楽器専門店の老舗・文京楽器。製作者としても評価の高い敏腕・堀社長による連載がスタート。
 メンテナンスや工房についての解説や裏話、工房での日々など、テーマごとにわかりやすく解説していくエッセイ。


★好評の連載★
●カフェ・ドゥ・室内楽【特別編/ロバート・マン追悼】
 1月1日、ジュリアード弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンとして活躍し、近年はソリストのみならず指揮者・作曲家・指導者として精力的に活動していたロバート・マンが逝去。来日時のスタッフ、教え子であったヴァイオリニストの原田幸一郎、直江智沙子らに聞き、その実績や人となりを追悼する。

●「低音ジャーナル」
 コントラバス・クァルテットのLa stella(ラ・ステラ)が登場。3月にリリースするCDについて聞いた。

コントラバス四重奏団 La Stella
●森武大和の「歌劇場コントラバシスト演奏日記」
 第9回の今号は、「演奏の“味”と“味わい”」について。

●加藤正幸の「弓付けの極意」
 ウェーバー:《魔弾の射手》序曲を取り上げる。

●鈴木康浩の「ヴィオラのオーケストラスタディ」
 読売日本交響楽団ソロ・ヴィオラ奏者、鈴木康浩の「ヴィオラのオーケストラスタディ」。 今号の課題はチャイコフスキーの交響曲第4番。

●森元志乃の「ヴァイオリン基礎テクニック、リターンズ!」
 1回5分で上達する基礎練習を取り上げる。 簡単にできるメソードを少しずつ解説し、身に付けていく。 第6回の今号の課題は〈高速運指〉。誰しもが憧れるこのテクニックに挑戦。

●柏木真樹の好評連載
 柏木真樹が読者モデルからの相談に答える「良い演奏のための処方箋」。
 今回の相談者はヴィオラ歴約20年の40代女性。「発音の悪さと、右手のもたつきが気になる」というお悩みに答える。

●黒川正三の「チェリストのための基礎講座」
 第22回 “楽曲の時代背景と音楽表現”の6回目では、シューマンの幻想小曲集を題材に、ロマン派の音楽について解説する。

●長谷川陽子の「チェロを始めよう!」
 チェロ歴6年の受講生が陽子先生の指導のもと、課題曲に取り組む。
 今号はカッチーニの《アヴェ・マリア》。ダイナミクスとヴィブラートでシンプルな旋律に表情を付けていく。今号から始まった「毎日の基礎トレーニング」では、スケールの練習について解説。

長谷川陽子(Vc)とレッスン風景
●TSUKEMEN「俺たちの音楽」の話
 メンバーひとりひとりに焦点を当てている「俺たちの音楽」の話。 3順目はメンバーが“これから”を語る。今回はピアノのSUGURUが登場。2月に行われたレコーディングの未公開写真も多数掲載。

●「遠藤紀代子の一筆エッセイ」
 ヴァイオリニストで指導者の遠藤紀代子が、日々感じたことを綴る一筆エッセイ。「なぜ人は音楽をするのか?」について、思いを綴る。


森田啓佑(Vc)
●倶楽部チェロ
 20歳を記念したリサイタルを4月に行う森田啓佑が登場。2014年に日本音楽コンクールで優勝。今年、第27回青山音楽賞新人賞を受賞し、今、注目を集める若手チェリストのひとり。

●川畠成道の「レガート・コンチェルタンテ」
 今回のテーマは「プログラムを決める――自身のこだわりと方法」。コンサートのプログラム作りとその準備について綴る。

●アマチュアオーケストラを訪ねて
 2013年に設立。若手作曲家の新作演奏に果敢に挑戦するアンサンブル・フリーEASTを取材。

アンサンブル・フリーEAST
●ヴィオロニステ♪
 ヴァイオリニストの長岡秀子と会田莉凡が登場。
 長岡は5月11日(金)東京オペラシティ リサイタルホールで演奏会を行う。9年ぶりに行うというこの演奏会にかける思いを聞いた。
 会田は近年の活躍ぶりと自身と音楽について話す。

●プリヴィェット、レーピン!
 今月は、14歳の初来日以来、訪日のたびに楽しんでいるという日本食のお話。
♪レポート記事
「関西弦楽器製作者協会 創立10周年」
 4月に大阪で行われる第10回作品展示会について。

関西弦楽器製作者協会 創立10周年 作品展示会
特別レポート「魔法のストレッチング講座開催」
 本誌で連載中の柏木真樹が2月4日に行った講座をレポート。医療現場のリハビリテーションにも使われている手法を応用したもので20名以上の受講者がその効果に驚いた。

柏木真樹の「魔法のストレッチ講座」の様子
巻末楽譜
 フォスター:《懐かしきケンタッキーの我が家》(ヴァイオリン2重奏版) [特集連動]
 富貴晴美:『西郷どん』メインテーマ(弦楽四重奏+コントラバス版)
読者プレゼント
 今号も新しい季節にピッタリのプレゼントを用意しました。
 ベルナルデル松脂1名様、
 エベレスト肩当て(ヴィオラ用)2名様、
 ヴァイオリニストの川田知子と会田莉凡のデュオCD「恋とはどんなものかしら〜ヴァイオリン二重奏作品集〜」1名様、
 ハ音記号を模ったペーパークリップ3名様、
 ヴァイオリン・ヴィオラ用楽器袋1名様。
※81号の綴じ込みはがきにてご応募ください。お待ちしております。

★★『サラサーテ』81号、是非、書店・楽譜店でご覧ください。★★
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アーティストインタビュー
青木尚佳(Vn)

ジル・アパップ(Vn)

水島愛子(Vn)
吉田南の
「ボストン留学日誌」
ニューイングランド音楽院
正面玄関にて吉田南(Vn)
ヴィオロニステ
長岡秀子(Vn)

会田莉凡(Vn)